本記事は、おまんじゅうキング選手に取材協力いただいた回答をもとに、1ベイ/3on3における戦略・判断の考え方を整理したものです。
「何を使ったか」だけでなく、「点数(1点/2点/3点)をどう捉え、勝ち筋をどう組み立てたか」という判断の部分を中心に扱っています。
あわせて、別記事にて、おまんじゅうキング選手の回答をインタビュー記事として掲載しています。
本記事で考え方の全体像を整理したあとにインタビュー記事を読むと、判断の背景や言葉のニュアンスまで追いやすくなるはずです。
なお、ベイブレードの環境は変化します。本記事は回答時点の考え方としてご覧ください。
数字だけでは見えない「勝ち筋の設計」
大会の採用率を眺めていると、どうしても「このパーツが多い」「この組み合わせが強そう」で話が終わりがちです。
ただ、実際に勝ち上がる人たちは、もう一段“冷静で客観的な視点”でベイブレードと向き合っているように見えます。
おまんじゅうキング選手の回答で、最初に印象に残ったのがこの一文でした。
「環境的にエアロが多い環境でした。自分のシュートパワーとテクニックならエアロ対面なら勝てると思ってました。」
ここで重要なのは「流行に乗る/乗らない」ではなく、相手の想定(多い対面)と、自分の勝ち筋(得意領域)を接続している点です。
また、回答の中で繰り返し出てくる「刺さった」「読んでいた」という表現は、単なる感想というより、狙いが機能したかどうかの自己検証として読むことができます。
「おそらくロッド9-60Rが刺さったと思ってます。」
「(超バランス個体だったので)スケイル、エアロにもスピン勝ちできると読んでました。」
採用率(どのパーツが多いか)は“結果として表れやすい数字”ですが、その背景では、選手側の判断が自己設計(勝ち筋の組み立て)で動いている部分がある。ここが、数字だけでは把握しきれないところだと感じました。
3on3は“点数”で考える:1点・2点・3点の期待値
おまんじゅうキング選手の考え方の中心には、3on3の点数設計があります。とくに東北予選の3on3については、勝ち筋の話を「点数の期待値」で説明しています。
「持久軸の場合、相手が攻撃軸で来たと仮定したときに+は1点、−は2or3点となるため、使わずにいこうと決め…」
この発想は、「そのベイが強いか」よりも先に、勝ったときに得られる点数(+)と、負けたときに失う点数(−)を見ています。
- 勝っても1点になりやすい
- ただし負け方によっては2点/3点を取られやすい
- その場合、勝負の期待値が合いにくいので、採用・運用を抑える
点数配分がバトルごとに変わる競技では、「勝率」だけではなく「失点の質」まで含めて判断する必要があります。
回答全体からは、期待値を常に意識しながら、準備段階で自分の判断を検証している姿勢がうかがえました。
まず2点を取りに行く:試合の組み立て方
点数設計は、試合中の思考手順として具体化されています。おまんじゅうキング選手は、試合を通した“組み立て方”を明確に言語化しています。
「試合の中ではとにかく2点取れてればいつでも勝ちに繋げられるのでまずはそこを目指す」
この「まず2点」という基準があることで、試合の途中で判断が散らかりにくくなります。さらに、2点を取った後の行動が続きます。
「2点取ったあとには落ち着いて4点まで重ねるというマインドでやってます。」
「そして2巡目はどこで4点目に辿り着くかある程度逆算してます。」
ここで語られているのは、精神論というより、試合の運び方を再現しやすくする手順です。
- まず主導権として2点を確保する
- 2点確保後は焦らず4点へ積み上げる
- 2巡目では「4点目の到達」を逆算して置く
また、うまくいかない局面でも「戻る基準」が示されています。
「うまくいかなくても2点取れればというマインドで切り替えてます。」
点数設計の基準に戻すことで再構築する、という考え方が読み取れます。
“戻る場所(基準)”があるからこそ、結果として安定しやすいのだろう、と感じました。
デッキは「役割分担」:同じパーツでも目的が違う
構成の説明は、パーツの列挙ではなく「役割」の言語で語られています。GPでの説明は象徴的です。
「2点、3点を取るためのフェニックス」
「1点の計算がしやすく、2点以上のリードがあれば仕上げでも使えるロッドB」
ここでは、各パーツの評価ではなく、点数を取りに行く役割と試合の状態(リード状況)が主語になっています。
つまり、同じベイ・同じパーツでも「役割」が違えば採用意図は変わる、という考え方です。
また、対面想定に基づく採用理由も明確です。
「エアロは相変わらずエアロ7-60Rにミラー勝ちするために入れました。」
(ミラー:同じベイ同士)
環境の中心が何か、対面の想定が何か、そしてそこに対して自分は何で対応するか。
ここも「強いから」ではなく、相手想定に紐づいた説明です。
さらに、新しい選択肢(直前に出た要素)に対する判断も、断定ではなく採用理由として述べられています。
「直前に出たブラストが強いとは思ってましたが、バーストしやすいことがわかっていたため採用しませんでした。」
採用・不採用は“強弱”だけではなく、勝ち筋・安定性・リスクの置き方で決まる。こうした説明は、初心者にとっても判断の軸として応用しやすい部分です。
スタジアムで価値が変わる:エクストリームとインフィニティ
おまんじゅうキング選手は、同じ3on3でも「場」によって点数の価値が変わることに触れています。現在の3on3について、こう述べています。
「インフィニティの3on3は1点の重みが少ないと思ってます。」
この前提に立つと、1点を積み上げる設計より、2点・3点を取りに行く設計の比重が上がります。実際、現在の3on3の方針として次のように語っています。
「とにかく2点、3点を取っていくスタイルです。」
また、ワンベイの運用については、運要素を含む現実も言語化されています。
「どちらもエクストリームに入ると終わるのでやはり運要素は強いと思ってます。」
運要素を前提に置いたうえで、どこを設計で詰めるか。過度な断定や万能論に寄らないための重要な視点だと感じます。

“強い”だけじゃない:魅せる・楽しむ・還元する競技観
ここからは、試合の設計だけでなく、競技への向き合い方の話です。WCS(世界大会)の運用理由について、おまんじゅうキング選手は次のように答えています。
「みなさんが求めているものを考慮し、スケイルは使わずに魅せるフェニックスを使いました。」
勝ち筋だけでなく、観戦側の受け止め方や期待も踏まえて選択している点が読み取れます。競技者としての選択であると同時に、立場(代表・注目される側)を含めた判断とも言えます。
さらに大会後の変化については、知名度の変化と、今後の姿勢が述べられています。
「とにかく知名度が上がったと思います。」
「より多くの人にベイブレードを楽しんでもらえるよう、この立場になったからこそできることをやっていきたいと思います。」
最後のメッセージは、競技の結果ではなく、関係性に向けられています。
「世界大会では多くの人の応援が本当に力になりました!」
「今度はみなさんにボクができる恩返しを少しずつしていけたらいいなと思います。いつでもお声がけください♪」
「それから、とにかくベイブレードを楽しみましょう!…勝っても負けても最高です!」
そして、競技の入口が「親子で楽しむ」ことだった点も、おまんじゅうキング選手の人柄や誠実さが垣間見える瞬間です。
「子どもの誕生日プレゼントに買ったのがきっかけで…親子で楽しもうと始めました。」
勝ち筋の設計と、楽しむという原点が同居している。回答全体の一貫性として印象に残りました。
まとめ:初心者が持ち帰れる“考え方”はこれ
本記事の要点を、初心者でも使いやすい形に整理します。
- 3on3は点数の期待値で見る
「勝つと何点/負けると何点」を前提に、割に合わない勝負を避ける設計がある。 - まず2点を取り、そこから逆算する
試合中の迷いを減らすために、2点確保→4点到達を逆算する基準を置く。 - デッキは役割で分ける
“強いパーツ”ではなく、点数役割(2点役/1点役/対面想定)として構成を組む。つまり、パーツを主役にしすぎず、勝ち筋の役割で見ることです。
ここまで、おまんじゅうキング選手の回答をもとに、3on3を「点数」と「組み立て」で捉える視点を整理しました。
同じ採用パーツや同じ結果に見えても、そこに至る判断の基準やリスクの置き方で、試合の組み立ては大きく変わります。本記事が、ご自身のデッキづくりや試合中の判断を見直す際のヒントになれば幸いです。
あわせて、おまんじゅうキング選手の回答をまとめたインタビュー記事も掲載しています。
本記事で整理したポイントを踏まえて読むと、判断の背景や言葉のニュアンスまで、より具体に追いやすくなるはずです。
編集後記
本取材に快くご協力いただいたおまんじゅうキング選手に、改めて御礼申し上げます。



